痛みの悪循環


 「痛みを我慢したり放置したりしていると、痛みが強まったり、慢性化するケースがある」ことをご存知ですか?これは『痛みの悪循環』と呼ばれ、そのメカニズムの解明も進んでいます。

簡単に言うと「痛み」が「痛みをおこす物質」を発生させる現象を言います。(なお、「痛みの悪循環」以外にも、痛みを我慢し過ぎることによる健康上の弊害はあります。咳や呼吸がしにくくなったり、血圧や脈拍が上がって良くない反応がおき、怪我や手術などからの回復が遅れるケースなどもあります。)

 「痛みの悪循環」の仕組みを、もう少し丁寧に説明しましょう。まず、身体のどこかで痛みの原因となる炎症などが起こると、その刺激が感覚神経(知覚神経)を通じて脳に伝わり私達は「痛い」と感じます。ところが同時に、炎症がある場所へと繋がる運動神経や交感神経も刺激を受けます。運動神経は筋肉を、交感神経は血管を収縮させ、その部分が“緊張した状態”になります。そのため血の巡りが悪くなり、酸素不足などを引き起こして、「痛みを起こす物質」が発生するのです。

 「新たに生まれた痛み」が次の“緊張した状態”を引き起こし、さらに血行を悪くし、痛みをどんどん生み続ける事態になってしまいます。痛み物質が溜まることで、痛みの度合いもひどくなったりします。この「痛みを感じる」⇒「血行が悪くなる」⇒「痛みを起こす物質が発生する」⇒「痛みを感じる」がループすることを「痛みの悪循環」と呼び、繰り返すと痛みは慢性化していきます。

大切なのは「我慢しないこと」です。早めの受診で悪循環は断ち切れます。

 一度、痛みの悪循環に陥ると、常に新たな痛みの原因が生まれてくる状態となってしまいます。たとえ元々の痛みの原因が解消しても、痛みの悪循環だけが残り続けるというケースもあり得るのです。痛みが慢性化した状態に陥ると、精神的にも参ってしまいがちです。

 そうなることを防ぐには、できるだけ早く医療機関などを受診し、悪循環を断ち切り、血行を良くすることが重要です。痛みの内容にもよりますが、治療法として薬物療法や神経ブロック注射、ときには手術療法が用いられることもあります。当院は鍼灸マッサージの施術所ですから、主に鍼を用いて沈痛を計ります。これにより血の巡りが良くなり、人間が本来持っている治癒力が発揮され、治療期間が短縮されます。

 他にも、「痛みの悪循環」と同様に、神経系が過剰反応することによる痛み発生があります。それはアロディニア(異痛症)と呼ばれる症状で、痛みを感じる“センサー”である末梢神経と痛みを脳に伝える中枢神経が過剰に反応してしまい、軽く触っただけでも痛みが生じます。帯状疱疹や脳梗塞、脊髄損傷の患者さんに見られる症状です。

 いずれにしても、痛みは奥が深く、放置すると悪化の可能性があるものです。「我慢していればそのうち治まるだろう」と安易には考えずに、早めの受診を心がけましょう。

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