肩こりにはやっぱり東洋医学?


 肩こりは、成人でそれを経験したことがないという人はまずいないくらいによくある症状です。最近(でもないですが)では、テレビゲームやパソコンなどの爆発的普及によってその発生はどんどん低年齢化しています。

 しかし、医学辞典をいろいろ調べても、ほとんど「肩こり」の項目がありません。ただ南山堂医学大辞典には肩こり(muscle stiffness of the shoulder)としての記載があります。ということは肩こりは病名ではなく、いろいろな原因で起こる一つの症状名ということになります。『今日の治療指針1996』(医学書院)で、「肩こり症」という病名が与えられているのが例外的でした。

 肩こりとは「後頭部から肩にかけての筋(抗重力筋)が収縮し、緊張、重圧感や疼痛が生じた状態をいう」と教科書では定義されており、自覚的には首の後ろから肩にかけての、だるい、重い、不快感、鈍痛などがみられる状態を指します。

 原因としては、筋・筋膜の病変(炎症)によるもの、頚椎から肩部に異常があり、筋肉・神経に対する物理的刺激が加わるなど局所に病変が認められる場合以外に、高・低血圧症、視力障害などの眼科疾患、更年期障害、自律神経失調、耳鼻科的疾患、歯科的疾患などによる二次的、症候性のものがあると記載されています。

 つまり、単に頚部から肩甲骨の疾患に止まらず、広く全身の疾患の一症状として出現し得ることが重要です。従って、肩こりがひどくてどうしても治らない時は、専門医の受診が必要だということになります。

 しかし、多くの場合は原因が見つかりません。筋の過労、自律神経の失調、神経の過剰刺激などから、交感神経系の過緊張が起こり、その結果として末梢血管が収縮し、筋肉の中の血流が減少する。そのため浮腫が起こる。また、筋肉の疲労の時と同じように筋肉の中の代謝が落ちる。そのため筋肉は硬くなり、痛みを生じるようになると考えられています。

 治療は病気があれば、まずそれを治すことが第一です。日常多く遭遇するのは、変形性頚椎症のような、頚椎が原因で起こる肩こりですから、整形外科ではX線検査で脊椎から出る神経が圧迫されている可能性が考えられる場合、あるいは筋肉に炎症があると思われる時は筋弛緩剤、消炎鎮痛剤を使ったり、ひどい時は神経ブロックをします。

 また精神的原因(うつ状態や過度に精神が緊張)がある時はデパスのような精神安定剤が著効を示すことがあります。

 肩さがり、つまりなで肩の人は、いかり肩の人のように、肩甲骨が腕の重さの一部を支えることが出来ないので肩こりを起こしやすいと言われています。従って肩こりを防ぐには肩の筋力増強が必要です。

 肩こりは血液の循環が悪く、筋肉が少しむくんで固くなっている状態です。予防手段としては、じっと同じ姿勢をとらず、仕事や勉強の合間に意識して肩や首を動かすように心がけ、家に帰ったら安静、入浴、マッサージなど心身ともにリラックスすることが第一でしょう。肩の筋肉をほぐす肩こり体操なども有効です。

 昔から肩こりには漢方薬、鍼灸、指圧などの東洋医学的な施術が有効とされています。効果に個人差があるので一概にはいえませんが、症状が改善するケースがしばしばみられます。

 前述のように 肩こりの原因は多様で、検査をしても原因がはっきりしないことも少なくありません。治療を要するような異常も特にないにも関わらず、頑固な肩こりがあるという人は東洋医学的な施術を受けることをお勧めします。

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